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音楽、そして

The Savoy の初代総支配人は伝説的なオテリエ、セザール・リッツ。モンテカルロやリビエラですでにホテル経営者として成功を収めていたリッツですが、ヨーロッパ各地のファッショナブルな高級ホテルをロンドンで再現すべく、様々なアイディアを実行しました。そういったホテルはイギリスの上流階級の人々も夏に訪れていて、アイデアは受け入れられると思ったのでしょう。彼がまず最初に手掛けたのは音楽。共用エリアには常に音楽を、というのが彼のポリシーでした。「音楽は会話のぎこちない沈黙を埋める」と考えていたからです。すぐに多数のミュージシャンが採用され、少人数の軍楽隊スタイルのバンドが当時のヒット曲を演奏するようになりました。

ディナーダンスが大人気に

1912年のある夕刻。バンドが当時特に人気のあった曲を演奏し始めると、レストランのテーブルからとあるカップルが立ち上がり、狭いスペースで踊り出したのです。突然の出来事でしたが、食事の合間に踊りたいお客様が多いことをホテルはすぐに認識し、タンゴの大流行に間に合う1913年までにはテムズ フォイヤーの中央に広いダンスフロアが設けられました。ロンドンの上流社会が集うその他の場所と同じく、第一次世界大戦が始まってもタンゴ熱は収まらず、海を隔てた大陸の悲惨な状況を数時間でも忘れるため、人々は夜な夜な踊り明かしました。

The Savoy バンドとBBC

第一次世界大戦が終わるとすぐ、ウィリアム・ドュ・モルニスがThe Savoy のエンターティメント部長に就任。若年層にアピールするために、新しいタイプのミュージシャンの採用を開始します。彼がニューヨークから引き抜いてきたのがラテン音楽のアンサンブル。すぐに「サヴォイ・ハバナ・バンド」の名で有名になりました。その後、この新ジャンルの音楽を流行させるため、アメリカやイギリスから質の高いミュージシャンを募り、やがて新しいダンスオーケストラ、デブロイ・サマーズ率いる「サヴォイ・オーファンズ」が誕生します。偶然にもThe Savoy のすぐ近く、サヴォイ・ヒルには1922年に開局したBBC(英国放送協会)の録音スタジオがありました。BBC が求めていたのがコンテンツ。 The Savoy が提供する最新の音楽はBBCにとっても格好の放送材料となったのです。1923年10月にはThe Savoy のバンドの音楽が定期的に放送されるようになり、BBCを受信可能な世界各地で大人気を博しました。この時期、ホテルのエンターティメント部門はさらに演目を広げ、夕刻のキャバレーショーも始まりました。

キャロル・ギボンズとフランク・シナトラ

1924年、「サヴォイ・オーファンズ」に若いアメリカ人ピアニストが参加します。これが後に最も有名なThe Savoy バンドリーダーとなるキャロル・ギボンズ。彼は再編された「サヴォイ・ホテル・オーファンズ」を1931年から1950年まで率い、その後もThe Savoy 娯楽部門ディレクターとして1954年に亡くなるまで活躍しました。様々なヒット曲をBBCでオンエアされ有名だっただけでなく、ジェームス・ディレンフォースの詩に曲をつけた自作テーマ曲「Garden in the Rain」(1928年)も 大ヒットしました。1962年にThe Savoy の常連だったフランク・シナトラが「Sinatra Sings Great Songs From Great Britain」と題されたアルバムをロンドンでレコーディングしました。10曲のうち、その第7曲目が「Garden in the Rain」。シナトラのお気に入りの伝説的なバンドリーダーにオマージュを捧げたものです。

時は移り…

その後、より若い客層がディナーダンスにも現代的な音楽を求めるようになると、シラ・ブラック、サンディー・ショウといったポップスターが出演するようになりました。ニュー・シーカーズも1970年にThe Savoy のキャバレーショーに出演しています。

それでも音楽は流れ続ける

1970年代に入ると多数のディスコやクラブが出現。エンターテイメントの根本的な形態が変化し、The Savoy の伝統的なディナーダンスやキャバレーショーは1980年に終了しました。それでも共用エリアにおける生演奏は今も続いています。というのも、時代は変わっても「会話のぎこちない隙間」は今も存在し、音楽はそれを埋める大切な要素だからです。